Turkish Pottery, 2016

Turkish Pottery, 2016

2012/06/23

映画『眠れぬ夜の仕事図鑑』




今日は明治学院大学で行われた、ドキュメンタリー映画『眠れぬ夜の仕事図鑑』の試写会に行ってきました。

涙あり笑いありを期待して映画館に足を運んだ人は、もしかしたら困惑するかもしれません。
ナレーションやBGMはいっさいなく、スクリーンに登場するのは、日が沈んだ後も昼間同然に働く様々な職業の人たち。例えば国境を監視する人、こどもSOSのカウンセラー、棺を火葬する人、パーティー会場でビールを注ぎ続ける人、国際会議をしている人、その通訳をしている人、介護施設でお年寄りに寝返りさせている人。
こういった人たちの姿を、固定カメラが唐突に、鋭く、淡々と映し出す強烈な94分間でした。

世の中には本当に様々な職業があるのだなあ感心すると同時に、現代社会の「便利・安心・快楽」はこういう人たちに支えられていているのだと気づかされます。

さて、そもそもこの人たちは夜働く必要があるのか?

煌々と照らされた電灯の下で働く人たちの姿を通して、この映画は現代社会の過剰さを浮き彫りにしているように私は感じました。

もちろん収入の面で、だれしも働く必要はあります。必要不可欠な夜間の仕事もあります。その上で、いくつもの選択肢がある中で、自分自身はどんな風に働きたいか。もっと大きく言えば、どんなライフスタイルが理想なのか。
観る側にいろんなボールを投げてくるような作品でした。

試写の後には、文化人類学者の辻信一さんと、映画監督の海南友子さんのトークショーがありました。お二人の印象に残った話。
 
海南さん「家に持って帰って、例えばお風呂に入りながらゆっくり熟成させる時間が必要な作品。なぜこの編集になったのか。監督の意図を想像しながら観た」

辻さん「近代化とは、電灯を使って夜を植民地化すること。夜は非生産的な時間のはず。僕らはどれだけ働いているんだろう。夜を取り戻してはどうか。」

辻さんの「夜を取り戻す」ことについては、今年10年目を迎えた「100万人のキャンドルナイト」ともつながるところがあります。

2007年公開『いのちの食べ方』のニコラウス・ゲイハルターが手掛けた最新作『眠れぬ夜の仕事図鑑』。電力について思うことも多い中、728日(土)シアターイメージフォーラムにてロードショー。