Turkish Pottery, 2016

Turkish Pottery, 2016

2016/04/05

Bob Dylan@Bunkamuraオーチャードホール





















春はディランに限る。
Bob Dylan@Bunkamuraオーチャードホール。

ステージ上にはヴィンテージらしきアンプのほか、エジソン電球や石膏の彫刻など。前回の春のZeppよりも格段に音質がいい。(初めてのディランに息荒く最前列を陣取ったからからかもしれないが)スピーカーから客席に向けて吐き出される音ではなく、ステージ上で鳴った音が共鳴しているような、いい音が鳴っていた。

『Tempest』からの曲をやりながら、シナトラ・トリビュートアルバムの曲、そしてTangled Up In BlueやBlowin' In The Windなど往年の名曲大サービスまで。
フィドルが入った風に吹かれては、前回ともオリジナルとも全く違うアレンジでとても素敵だった。強烈なプロテクトソングにも、明日があるさ的にも、あがらえない理不尽をただ受け止めているようにも聴こえるこの歌。今夜は、絶望にかすかな希望を与えてくれるような、そんな感じだった。何度も復唱している詞の持つ力は、どんなアレンジになろうとも衰えない。そしてこの先も、きっと繰り返しこの歌に救われるのだろうなと思った。

ディランの声はシナトラのような艶やかさはないけれど、私にとっては心地がいい。かつてラジオで放送されていた彼の番組「Theme Time Radio Hour」をイヤホンで聴きながらしばしば眠りに落ちたことを思い出す。時おり目を閉じながら、至福の時間を堪能してきた。

ディランは目が良いんだろうな。彼のステージは本当に、暗い。