Turkish Pottery, 2016

Turkish Pottery, 2016

2016/02/26

この時代がなかったら、DJになっていなかったかもしれない

















最近こんな本を読みました。

宇野維正『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)

1998年の日本人は人類史上最もたくさんのCDを買っていたそうです。そしてその年は女性アーティストの当たり年。宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ、みんな1998年デビューなんです。この4人に共通するのは、シンガー・ソングライターであり、キャリアを自らコントロールし、現在でも第一線で活躍しているという点。宇多田ヒカルさんは休業中ですが、まもなくアルバムが届くという話も聞こえてきています。それを踏まえた上で音楽ジャーナリストである筆者が「奇跡の1998年組」がなぜ特別な存在であり続けているのかを読み解くという内容です。

帯にこの4人の名前が書いてあって、思わず手に取りました。昨日のglobe特集でも少しお話ししましたが、90年代後半のJ-POPは私にとって「音楽の入り口」だったからです。ヒットチャートが面白かった時代、毎週ランキングをメモするのが趣味の小学生でした。そして椎名林檎さんにのめり込んでいった私は、林檎さんの作品を通して音楽の楽しみ方を学んでいきました。音楽マーケットのピークと、音楽の原体験の時期が重なったことは、自分がラジオを志す外的要因だったのかもしれない。そのことに、この本を読んで初めて気づきました。

本を一気読みしたあと過去の作品を引っ張り出して聴いていますが、音楽史に位置付けされた状態で聴くと、同じものでもまったく違うようにきこえるものですね。音楽シーンの変化に想いを馳せながら、それでも変わらない芯を持ち続けている彼女たちに尊敬の気持ちを抱く。その後1998年頃の音楽について人と話すことが多いのだけれども、それぞれにストーリーが飛び出して面白いです。