「うわっ」
「えぇー?!」
「おお~っ」
読んでいて、おもわず何度も声を上げてしまった一冊。
伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』(新潮文庫)
最近人から薦められたので手に取ってみました。伊坂作品はこれが初。
本屋さんの小説コーナーでは必ずと言っていいほど、東野圭吾さんと平積みの陣地争いをしていますが、納得です。
中篇4作からなるこの『フィッシュストーリー』。同一人物が別のお話の中にも登場していたり、物語を読み解くヒントとして謎のアイコンが出てきたり、時代や視点を変えて同じものを描いていたり。構成がとても巧妙で、ぐいぐい引き込まれます。仕掛けの多さは、ピタゴラスイッチ並み!(笑)
一回目を読み終えて、まだすべてのトリックがわかってないような気もするので、もう一回読みます。
しかも解説に、「作品間でリンクしたところがあるのも嬉しい擽りになっている」と書いてあったので、他の作品も読まずにはいられなそう。 みなさん、こうやって伊坂ワールドにハマっていくんですね。
個人的には、仙台が舞台になっているのも惹かれるポイント。初めてラジオのお仕事をした思い出の場所なので、「アーケード」とか「東口のコンビニ」とか言われると街の景色も匂いも蘇ってくるのです。
東京よりも早く紅葉し、東京よりも遅く桜が咲く街。
何冊か読み終えたら、いやむしろ伊坂作品を読みに、仙台行きたいなぁ。
Turkish Pottery, 2016
2010/09/29
2010/09/28
男木島での火災について
オーガニックEXPO
ちょっと前になりますが、秋分の日に東京ビッグサイトへ行ってきました。
3日間開催のオーガニックEXPO。一般向けのナチュラルなマーケットやイベントが最近増えてますが、このEXPOはどちらかというとビジネスメインのイベント。(といっても一般の人も入れます。)ブース内ではスーツを着た人が商談中、ということも。
オーガニックであること、自然派であること、社会貢献していることが、ビジネスにおいても重要になってきているんですね。一消費者としても、選択肢が増えるのは嬉しいです。
たとえば、こんなお菓子。
オーストラリアの菓子メーカー「エッガー社」のグミは、使っている果汁や糖類など全部オーガニックなんだそうです!!化学的な着色料も不使用。試食させてもらいましたが、とてもおいしい、いわゆる私たちが知っているグミでした。
動物性のゼラチンを使わないので、ベジタリアンの人もOK。すごーい。
お母さんたちの「体に悪いものは食べさせたくない」というお母さんたちのニーズと、子供たちの「bioのドーナッツとか有機バナナのおやつだけじゃなく、カラフルで甘くてかわいいキャンディーが食べたい」というニーズが両方満たされる優れもの。
そして、あるようで無かったこれ。
明治乳業の「オーガニック牛乳」。牛乳をオーガニックにするには、牧草と、それから牛をオーガニックにするところから。牛は幸せですね。私自身は全然オーガニックじゃないもんなぁ。
牛乳は、すごく甘みがあって濃くておいしいです。ブースの方に聞けば、現在は¥398で北海道のみで販売されているそうです。
イベントの中でセミナーも行われていました。
以前、番組の中でも紹介させていただいたフェアトレードショップ「People Tree」のサフィア・ミニーさんをはじめ、"Ethical Fashion"を牽引する方たちのお話が聞けて勉強になりました。覚書がてら、シェアさせていただきます。
まず"Ethical"=倫理上の・道徳上の、という意味があります。
"Ethical Fashion"は環境破壊、児童労働、低賃金労働などの問題に配慮したファッション。具体的にはSecondhand、オーガニック、フェアトレード、リサイクルのファッションを指します。
オーガニックやフェアトレードのファッションというと、寄付とか、ボランティア、サポートの気持ちで買うというのが一般的だったのですが、近年、有名ファッションブランドからオーガニックコットンの製品が発売されたり、フェアトレード商品を有名デザイナーがデザインするという動きが出てきています。写真のサフィアさんが着ているのも、People Treeとtsumori chisatoのコラボ商品。今回のEXPOでは、オーガニックコスメのラインナップも豊富になっています。
「かわいいと思って買った服が、おうちに帰ってタグを切るときに『オーガニックだったんだ』と初めて気づく。それが理想だよね」というのはファッションジャーナリストの生駒芳子さん。Ethical Fashionの品質も、購入するモチベーションも、普通のショッピングと変わらないまでになると、きっと世界が変わるんだろうと思います。
一方、消費者にとってのEthical Fashionを考えたとき嬉しいのは、日常のお買い物が社会貢献につながるということ。もちろんファッションに限らず、EXPO会場にあるようなオーガニックな商品、環境に配慮した商品を選択することも、大きな視点で見ると世界を変えることになるのだなぁと思いました。
BioFach Japan Organic EXPO: http://www.biofach.jp/
2010/09/26
第7回赤メガネの会
今回の課題図書は、山本周五郎『赤ひげ診療譚』。赤ひげ先生や最下層の患者との関わりの中で、若い見習い医が徐々に成長していくというストーリー。
赤ひげ先生は病気を治療するだけでなく、貧しさの中でさまざまな問題を抱えている人たちを助けたり、世の悪に立ち向かったりもする正義の味方。
江戸時代には血液検査もレントゲンも無かったって考えると、どれだけの治療が出来たのだろうと思うけど、この本を読みながら、診察して処方箋を出すだけが医療じゃないよなぁと思う。病気や怪我の裏には根本的な原因が必ずあるはず。いつの時代も、患者さんや家族のケアは、きっと治療と同じぐらい大事。
この作品は黒澤明監督が映画化しているので、今度観てみたいな。
お医者さんと言えば。
理想的なマグ
2010/09/16
男木島②
高橋治希「SEA VINE」
海が見える窓から波が入り込んでくるような作品。「あれ、TVのモニターじゃないですよね?」と尋ねる人がいるくらい、この窓が本当に美しい。窓にはガラスがはめ込んであるのだけど、海からこちらに向かって風が吹き込んで来ているような感覚がある。そして、天井からテグスで吊るされている波は、なんとすべて陶器で出来ている!繊細かつダイナミックなこの作品に、思わずため息。不在だった空き家の魂が、風に乗って舞い戻ってきたみたい。
白い花や葉の中には、海から見た瀬戸内海の風景が描かれていて、じっくり探すと工場や瀬戸大橋も見つけられる。OZマガジンにも大きく取り上げられていた高橋さんのこの作品は、男木島アートの中でも一番人気。ちなみに、「午後の明るい時間帯に窓の真正面から」というのが作者のオススメ鑑賞方法だそう。
真正面もいいけれど、私のオススメは横から。
躍動感が感じられるのと、吊ってあるテグスが見えるところが好き。
じつは、こえびの監視用椅子からのアングル。
ここに椅子を置いたのは偶然だったのだけど、まさに特等席だった!
2010/09/15
男木島①
男木島(おぎじま)は、斜面に民家が密集している島だ。海から眺めた風景、それは造形の美。写真家の石川直樹さんが「島は山だ。」と言っていたことを思い出す。どこからも海が見渡せるので、海がより近くに感じられる。でも炎天下の男木島の路地は、日当たり抜群で日陰がほとんど無いので、アート巡りは結構ハードだった。
そんな中、バケツいっぱいの水を持ってきてくれた島のおばちゃんがいた。「冷たい井戸水汲んできたから、タオル絞ってき。熱中症になったらあかんよ。」って。優しいおばちゃんは、みんなが座れるようにベンチを庭先に出したり、暑さで具合が悪くなった女の子を家で休ませてあげたりしていた。男木島には、なんてステキな人がいるんだろう!
アイスを買った商店のおばちゃんから聞いた話。
島には中学校がひとつあるけど、生徒は中学3年生が3人だけで、来年の春に休校になることが決まっている。島の子供たちは高校生になったらどうするのかと聞いたら、高松の学校だったらフェリーで通学できないこともないけれど、高校の寮に入ったり親戚の家から通う子もいる。部活なんかやったら最終のフェリーに間に合わないから、そんな場合はお父さんが漁船(!!)で迎えに行くんだそうだ。「フェリーは時間かかるけど、漁船やったら高松まで10分よ。」とおばちゃんは笑う。 親が車で駅まで子供を送り迎えする感覚と同じなんだと思う。私の田舎と一緒だ。車が船で、毎日通う道が海。改めて、瀬戸内の人たちにとって海は日常の一部なんだなあと感じた。
島のおばちゃん話、もう1つ。
秋だね
2010/09/12
台風のこと
「雨が一滴も降らない日が続いているので、いっそのこと、ドカンと台風がきてくれないかな~。
とにかく雨がほしい。雨乞いよろしくお願いします!
効果的な方法:大豆畑にシトシト雨が降り続いているのを、道路から傘をさして道路から眺めている自分をイメージする。」
コーディネートをしてくださっている農園の人から、こんな内容のメールがきたのは1週間前の9/5。
最初の顔合わせのときにも「畑に念を送ることが成功の秘訣!」と言っていた。
畑のメンバーは、三浦、逗子、葉山、鎌倉の人もいれば、都内から来ている人もいるのだけれど、それぞれの場所から送られた念が空に届いたのかもしれない。
それがこれ。
東シナ海を北上していた台風9号が、曲がったー!!
メールが届いた3日後。大豆が風に煽られることなく、三浦にちょうど良いしとしととした雨が降った。嘘のような、本当の話。
台風といえば、絶対避けたい台風進路というのもあって、それは伊豆半島を通るルート。三浦は海に近いので、強い南風の影響で塩害が出てしまうからだそうだ。
ちなみに、畑の傍に草薮に隠れるようにアシナガバチの巣ができていた。 ハチが低いところに巣を作ると、その年は「風台風」が来るといわれている。大豆は風に弱いので、少し心配だ。
夏が終わって、これから台風の季節がやってくる。油断は出来ないのだけれど、我々の奇跡の念力は、また台風を曲げられるような気もする。
とにかく雨がほしい。雨乞いよろしくお願いします!
効果的な方法:大豆畑にシトシト雨が降り続いているのを、道路から傘をさして道路から眺めている自分をイメージする。」
コーディネートをしてくださっている農園の人から、こんな内容のメールがきたのは1週間前の9/5。
最初の顔合わせのときにも「畑に念を送ることが成功の秘訣!」と言っていた。
畑のメンバーは、三浦、逗子、葉山、鎌倉の人もいれば、都内から来ている人もいるのだけれど、それぞれの場所から送られた念が空に届いたのかもしれない。
それがこれ。
東シナ海を北上していた台風9号が、曲がったー!!
メールが届いた3日後。大豆が風に煽られることなく、三浦にちょうど良いしとしととした雨が降った。嘘のような、本当の話。
台風といえば、絶対避けたい台風進路というのもあって、それは伊豆半島を通るルート。三浦は海に近いので、強い南風の影響で塩害が出てしまうからだそうだ。
ちなみに、畑の傍に草薮に隠れるようにアシナガバチの巣ができていた。 ハチが低いところに巣を作ると、その年は「風台風」が来るといわれている。大豆は風に弱いので、少し心配だ。
夏が終わって、これから台風の季節がやってくる。油断は出来ないのだけれど、我々の奇跡の念力は、また台風を曲げられるような気もする。
草取り・ジャガイモ植え付け
春から三浦で農業をしてます☆
みんなで大豆を育てていて、収穫したらその大豆で、自分が1年間消費する分の味噌を作る予定。完全無農薬の国産大豆で作られた味噌なんて、最高でしょ?
今日は朝から畑の草むしり。
夏前に種まきした時はこんな感じだったのが・・・
今、こんなにわっさりしてます!!
まだちっちゃいけど、ついに枝豆実りました!
今年の夏は乾燥続きで、2回目に種を蒔いた部分は発芽率があんまりよくなかった。いや、あの猛暑の中、芽を出して大きくなってくれたんだから、大豆たちのパワーはすごいよね。
ということで、畑にできた隙間にジャガイモを植えました。
もしも食糧難が起こったとしても、イモと豆があれば安心ね。(笑)
野良仕事のおやつは、無農薬の巨峰。実ってます。秋だねぇ。
人間が早いか、鳥が早いか。いえいえ、わけっこして食べましょ。
甘さが凝縮していて、実もしっかりしていて。枝に手を伸ばして食べるぶどうは、おいしい~☆
2010/09/10
長者町会場①
名古屋に、しかも中心地に、こんな街があるなんて初めて知った。
「長者町繊維街」は繊維問屋がひしめき合うエリアで、時代が変化するなかで活気を失うも、今でも衣服や繊維を扱う商店や企業が軒を連ねている。昔、長者町で商売する人は長者町の住人でもあったから、そのコミュニティは今よりもずっと密だったのだそうだ。
伏見のオフィス街や栄・錦の繁華街の間で、長者町は頑固に自らの陣地を守り続けているようにも思える。「昔ながら」が凝縮した、横浜の野毛や伊勢佐木にも似たパワーを感じる場所。
そんな長者町も会場になってます、今回のトリエンナーレ。
映像では、それぞれの子供たちが自分の作った「地獄」の工作を発表。どんな「罪」を犯すと、地獄でどんな「罰」を受けなければならないのか笑顔で説明してくれるのだけど、彼らが考える主な重罪は、仲間はずれにしたり、人の消しゴムを勝手にちぎったり、植物を折ったりすることで、しかも刑罰がユニークで笑える。「そうだよなぁ。子供時代って地獄とか残酷なこと好きだったよなぁ。」と思う。それに適度に残酷なテーマのほうが、彼らはクリエイティブだし個性的。小学校の先生が図工の授業参観でこれをやったら、父兄は大爆笑間違いなしだろうな。
子供たちが制作した工作は、会場に展示もされている。
これはある女の子が考えたという「ひたすら運動じごく」。
絶対、いやだ。
あいちトリエンナーレ2010
2010/09/05
千住博「青の世界―東山魁夷からの響き―」
瀬戸内に行っている間、念願叶って東山魁夷せとうち美術館に行ってきた!敷地内に足を踏み入れたときから東山魁夷を感じられる仕掛けが。
それが、上の写真。
本館までの通路が、東山の代表作「道」になっている!!
名前に「せとうち」と付くだけあって美術館の向こうには、hello, 瀬戸大橋☆
戦後の日本画壇を代表する東山魁夷と、彼の描いた「青の世界」に強い憧憬を抱いていると千住博の、世代を超えた2人の日本画家のコラボレーション。(やばいです。)
千住さんと言えば、直島の家プロジェクトでも作品を展示中。襖に描かれた荘厳な滝に出会った瞬間、思わず息をのんだ。
木・紙という物質で形作られた日本家屋の繊細な内装。漂う慎ましやかな空気。
その空間を切り裂くように、大胆に落ち、飛び散る大量の水。
墨で描かれた襖絵という事実のみが、相容れない二つの光景の均衡を保っているというような作品だった。
一方、今回の企画展で展示されている、《青い滝-Blue Falls-》。
光を遮断した空間に蛍光塗料で描かれた青い滝が浮かび上がる。時も音も止まっているような感覚になり、その幻想のような美に圧倒された。すごい世界だった。
展示されている作品の中には、液晶ディスプレーを使った「動く」水墨画もあった。蛍光塗料も然り、現代の道具を使って表現する日本画の世界。テレビが2Dから3Dになった時のような、迫り来る、もしくは吸い込まれる感覚があってわくわくした。
千住さんの作品を見た後に、東山魁夷の作品を見ると2人の共通項が見えてくる気がする。
2人の「青」に吸い込まれる今回の企画展、良かった。
海の色、空の色、山の色。そうだ、瀬戸内は青い。この夏、ますます「青」という色が好きになった。
2010/09/04
2010/09/03
残暑対策。
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