Turkish Pottery, 2016

Turkish Pottery, 2016

2012/11/24

カッパドキア・ワイン



◆4日目◆

アクシデントが何も起こらない旅は、「旅」とは言いません。
何かと申しますと、母娘旅、ここにきてちょっとしたケンカをします。(笑)

事の発端は、私が「今日は自転車でまわろう」と言い出したことにあります。
これです。



カッパドキアには2日間しか滞在しないため、両日ツアーに使ってしまうのは惜しい気がしていたのです。ホテルのオーナーさんは「自転車はあまりおすすめしないよ。アップダウンがあるし、カッパドキアは広いからね」と言っていたけれど、せっかく来たのに土地勘がつかめないのもいやなので、自分の足で回ることにしました。

こぎ出してみたものの、確かにかなりアップダウンがある。下りは楽なのかと思えば、石畳では自転車がはねてちょっと乗りにくい。砂目の舗装されてない道は、ブレーキをかけると滑りそうになる。

ギョレメ野外博物館を見学して、少し離れたウルギュップという街までサイクリングの予定だったのですが、なかなか母が付いてこない。追いつくまで待ってどうしたのか聞くと「ここから引き返そう」と言うのです。
「え?ここから先が今日のメインなんだけど。三姉妹岩とワイナリーを見ないで帰るの?」と私。
「だってこの道をこの自転車で下るのは危なそうだし」。
「だったら最初からツアーに参加したらよかったじゃん。なんで今更言い出すのよ。」
「あんたは自転車慣れてるからいいけど、お母さんは無理だわ」
「自転車借りる前に言ってよ、それ。私だっていろいろ計画立てて決めてるのに、勝手すぎるよ。カッパドキアのワイナリーに行かずに帰るなんて嫌だ!」
「とにかくお母さんは引き返すからね!」

結局母は、本当に引き返してしまいました。

英語もあまり話せないし、海外での一人歩きは慣れていない母をひとりで行かせるのも不安だけど、でも洞窟ホテルとワイナリーに行くのがカッパドキアでの私の目的だったし、母の気まぐれに若干腹を立てていた私は、結局そのまま先に進むことにしました。



 
母と別れた地点から15分くらいのところで、突如奇妙な岩が。「これがかの有名な3姉妹岩か!」と自転車をおりる。ツアーガイドさんが「カッパドキアの岩は、水による浸食で縦方向にえぐられ、風による風化で柱のようになった」と教えてくれましたが、それにしてもこんなにうまくいくものなのでしょうか?
 
「お母さんもくればよかったのに~」と思いながら長いダウンヒルを進んだ先に見えてきたのが、「ウルギュップ」の標識!



 
ここカッパドキアはワインの産地としても有名で、辺りにはブドウ畑が点在しています。
 


 
フランスのような垣根でもなく、山梨のような棚でもなく、「生えるままに」式の栽培方法のようです。ドイツでこういうのがあるらしいということは聞いたことありますが、初めて見ました。
 
 
ウルギュップの街の入り口にあるのが「トゥラサン」というワイナリー。従業員24人のファミリーワイナリーで、1階がテイスティングスペース&ショップ、地下が工場と貯蔵庫になっています。

スタッフの人がワイナリーを案内してくれました。貯蔵庫は、さすがカッパドキア。洞窟住居と同じ岩の素材で作られています。一定の温度と湿度を保つのに適しているのだとか。
「ブドウもこの地域で作られたものを使っているし、機械を使わずにすべてここで醸造している」とのこと。Made in カッパドキアのワインは、現地のホテルやレストランでも気軽に味わうことができます。
 
薗田嘉寛さんが書いた『カッパドキア・ワイン』彩流社 という本があります。史実に基づいたフィクション小説なのですが、旅の中で読んでいた中の1冊で、醸造方法や地理についても書いてあって面白かったです。興味あればぜひ。
 
 
さて母は。
ギョレメへのんびり戻りながら、景色がいいところに腰を下ろしては、日本から持参した篠笛をふいていたとのこと。まるでスナフキンみたいだ。でも「ストリートミュージシャンをやる!」というのも彼女がトルコでやりたいことの一つだったようなので、結果お互いの目的が果たせてめでたしめでたし。
お互い頑固なだけでした。そこはやっぱり親子だねぇ。