現在、横浜美術館で開催中の『Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術 』展へ行ってきた。
シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアのアーティストによる作品が大集合。東南アジアの混沌としたカルチャーと、スコールが降った後のような湿度と熱気を感じさせる、それはそれは濃い企画展だった。
一部写真OKだったので、覚書を。
◆チャン・ユンチア≪芭蕉の娘≫(マレーシア)
アジア文化を象徴する、蓮華に描かれたちょっと悲しい絵物語。
◆ロバルト・フェレオ≪バンタイの祭壇≫(フィリピン)
スペイン植民地時代に起きた反乱から着想した作品。逆三角形は、階級社会やキリスト教の伝統的な祭壇に対する疑義が込められているそう。
◆シャノン・リー・キャッスルマン≪東南アジアの屋台車≫(シンガポール)
これぞアジアだ!
長時間露光と、映画撮影の時の照明を使って、東南アジアのストリートカルチャーである屋台車を主人公に写真を撮ったというアート。近代化しても、こういうアジアらしさはいつまでも残っていてほしい。
◆スティーブ・ティロナ≪イメルダ・コレクション#1、3≫(フィリピン)
かつて贅を極め人民革命によって追放された、マルコス元フィリピン大統領夫人をモデルにした作品。これは彼女に対する皮肉なのか、それともファッション広告なのか、曖昧なまま提示されている。
この長ーい布製のトンネルの向こうにモニターがあり、作者本人が「世界標準であること」を訴え続けている。映像を見た後、世界標準だと思うものに関するアンケートに回答すると「World Class Society」と書いたバッジがもらえる、という作品。
私もめでたく「World Class Society」の一員に。
タイのアラヤー・ラートチャムルーンスックという女性作家が作った≪タイ・メドレー1、2、3≫という映像作品も心に残った。
身寄りのない女性の遺体が収容されている安置所で撮影されたもので、「亡くなった女性たちにも、おそらく生前忘れられない恋があっただろう」という仮定から、『イフオ』というタイの伝統的な恋物語を朗読して死者を弔うという作品。
たしかに衝撃的だけど、死生観や葬儀の形式は文化によって様々であって、こういう弔い方もあっていいと思う。観ているうちに、不思議と厳かで優しい気持ちになった。同じ仏教の文化を持っているからなのだろうか。
これらの作品はすべて「シンガポール美術館」の収蔵品で、そのシンガポールでは今年の10月からビエンナーレも行われるそうだ。アジアのアート、とても気になる!
シンガポールかぁ。わりと近いなぁ。直行便あるなぁ。うーん・・・
東南アジアの匂いがしてきそうな『Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術 』展は、横浜美術館で6月16日まで。