朝7:30、深夜バスでイスタンブールに戻ってきた。
ホッとしたような、旅の終わりが見えてさみしいような、そんな気分だ。
つい1週間前このターミナルに着いたときはとても緊張していたのに、ロカンタで朝ごはんのスープとパンを頬張りながら、すっかりこの国に馴染んだ自分に気づく。
朝食を終えて、目星をつけていたギュルハーネ駅近くのホテルに行くと扉が閉まっている。すると私くらいの男の子がやってきて「オフシーズンだからここはやっていない。同じオーナーがやっているホテルがあるから紹介するよ」とのこと。そこはツインで65€だそうだが、もっと安いホテルに泊まる予定だったからと伝えると、オーナーに電話してくれて50€でもいいとのこと。
それなら、泊まろうと思っていたクローズ中のホテルと料金も大体同じだし、行ってみてもいいかなと思い、付いていくことにした。
こういう時、旅の嗅覚が試される。結果、正解だった。
テラスからマルマラ海が見える「Agola Hotel」という宿で、ちょっとジョニ・ミッチェル風な気さくな女主人が迎えてくれた。(トルコでは女性の主人はめずらしい) アヤソフィアやブルーモスクからも近く、値段にしてはシティホテル風で、なによりテラスが気に入った。
強い海風の中、カモメが飛んでいる。「カモメは日本もトルコもいっしょなのね」と母。ガラス張りのテラスはあたたかで、1日中ここでチャイを飲んでいてもいいくらい、一目でその景色が好きになった。
そうはいっても、見なければならない場所があるので昼前頃にホテルを出発。
まずは、アヤソフィアだ。
ギリシャ正教の大本山として作られたものの、コンスタンティノープルの陥落でイスラム教のジャーミィに変えられた、まさにトルコの歴史に翻弄されたビザンツ建築の最高傑作。その荘厳さには圧倒された。ところどころに、塗りつぶされたキリストのモザイクを見つけることができる。
西と東の文化が交わり、変化を受け入れ、様々な権力者が歴史を塗り替えては衰退していったトルコ。現代を生きるトルコ人のたくましさや人懐っこさも、こうした歴史に原点があるのかもしれない。
もうひとつ、イスタンブールのハイライトがここ!
スルタンアフメットジャーミー、通称「ブルーモスク」。
外国人であろうと、入場する際女性はスカーフをかぶらなければいけない。
目もくらむような美しさ。ところどころに使われているブルーのモザイクが、ブルーモスクと呼ばれる所以だ。イスラム圏を旅していると、モザイクの美しさに心を奪われることが多々あるが、ブルーモスクは群を抜いてすばらしい。
最終日に再び訪れたもののタイミングが悪く入ることはできなかった。このブルーモスクを見るために、いつかもう一度イスタンブールに戻ってきてもいいと思う。