最近はCDを買わなくなったという人も多いかもしれませんが、ダウンロードした音楽にはないCD(もしくはレコード)の良さは「ヴィジュアル」があるところではないでしょうか。
音楽に目覚めた10代の頃、ベッドに横になってCDを聴きながら、ブックレットに載せられた大好きなアーティストの写真をいつまでも眺めていました。きちんとCDで聴いた音楽は、ふたたび耳にした時、そのヴィジュアルとともにより鮮明に蘇ってくるもの。
もしあなたの頭に思い浮かんだジャケット写真があるとするなら、それはもしかしてこのカメラマンが撮った写真かもしれません。
現在、東京都写真美術館で『鋤田正義展―SOUND & VISION』が開催中。
アーティストのジャケットやライブの写真や広告写真、テレビコマーシャルや映像作品など幅広いフィールドの第一線で活躍している写真家、鋤田正義さんの回顧展です。
作品の被写体になっているのはDavid BowieやT. REX、Iggy Pop、布袋寅泰、忌野清志郎、YMOなど「あぁ、この写真見たことある」というアーティストばかりで、音楽好きにはたまらないと思います。
高校生の頃から写真を撮っていた鋤田正義さん。あるときDavid Bowieを見て「化粧をしている男がいるのか!」と衝撃を受け、そのまま飛び込みで行って写真を撮らせてもらったことがすべての始まりだったそうです。David Bowieの名盤『LOW』に収録された「SOUND & VISION」がタイトルになっているのもそのためです。
展示されている写真を観ていると、アーティストへの憧れの気持ちはこういったヴィジュアルがかなり大きく影響しているということに気づきました。鋤田さんはまさに、憧れを作り出す写真家。
会場には「Rock好きです!」という服装のお客さんも多くて、さすがに話しかける勇気はないけれど、きっと音楽トーク出来る人ばっかりなんだろうな・・・とちょっともどかしい気持ちもありながら、そういうところまでとてもワクワクする写真展でした。
『鋤田正義展―SOUND & VISION』は、東京都写真美術館で今週の日曜日まで。