◆塩田千春《家の記憶》2009年
こへび3日目。
大好きな塩田さんの作品の中で1日過ごせるというのは、幸せなことです。
受付をしながら、空いた時間には板の間に大の字にねそべって作品を眺めたり、本を読んだり、うとうとお昼寝をしたり。幸せな時間でした。
この作品に使われた黒い毛糸の全長はおよそ44km。
「ここから長岡まで行けちゃうわねぇ」と驚いているお客さんもいました。
記憶が住人を失った家を守っている感じもする。
糸の中に編みこまれたのは地元の皆さんの「いらないけれど捨てられないもの」。
それらもまた記憶によって存在することを許されている。
今日作品を見に来たご夫婦の会話。
「長く置いておけば、ほこりが付くだろうね」
「それはそれでいいわね」
時が流れてもなお、留まることができるというのはあたたかいこと。