Turkish Pottery, 2016
2010/08/26
豊島③
塩田千春「遠い記憶」
豊島で絶対観たかった作品の一つ。すごくよかった!今回こえび隊に参加して、受付をしながら一日中作品を眺めてた。大好きな塩田さんの作品の前でお昼寝もした!贅沢だ!
かつて甲生(こう)地区の集会所だった建物を、使われなくなった扉や窓で埋め尽くした作品。外のジャングルジムやすべり台、鉄棒もそのままになっている。「昔は隣に小学校があったんだ。集会所の壁は、きれいなピンク色だった。」と自治会長さんが教えてくれた。錆付いてしまった遊具も、子供が遊んでいた頃は鮮やかな空色だったのだろう。 作品に使われている建具は、豊島のほか、直島などから集めてきたそうだ。黒ずんだ扉の向こうには、その家に住んでいた人たちの姿が浮かぶようだった。この扉で出来たトンネルの先には田んぼがあり、反対側には海があって、風がすり抜けていく。 甲生には今年、17年ぶりに赤ちゃんが生れたそうだ。
私が子供だった頃は、校庭といくつか遊具があれば一日中そこで遊んでいた。それで日が落ちる頃になると走っておうちへ帰る。帰り道はうっかりしているととても寂しくなってくるのだ。家の窓には灯りが付いていて、その向こうでお母さんが夕飯を作っている、おばあちゃんがお相撲を見ている。遠くでお寺の鐘がきこえる。
時間によって影の落ち方が変化していくのもこの作品の素敵なところ。夕方、長くなった影を眺めていたら、置いてけぼりになっていたあの頃の記憶が蘇ってきた。
豊島②
藤浩志「こんにちは藤島八十郎」
豊島の唐櫃岡に、最近移住してきた八十郎の家がある。
ある、といっても彼は架空の人物なので、実際に会うことは出来ない。家の中には、あたかも彼がそこで生活しているかのように様々ものが設置してあり、八十郎のキャラクターが浮かび上がってくる仕掛け。ディズニーランドで言えば、トゥーンタウンの「ミッキーの家」みたいな作品だ。
八十郎の近況は、八十郎の家にいる藤さんに聞けば教えてもらえる。「最近地元の人から頼まれて、神社のお賽銭箱を直したんですよ。」とか「お店の看板を作ってあげたみたいです。」とか。最近は旅に出たまま帰ってこないんだそう。そう、お盆休み・夏休み期間に突入し、こえび隊や藤さんが忙しくて八十郎の活動がなかなか進まないのだ。手伝いたいという方は是非!
今回、藤さんの娘さん(高校生)がこえび隊で来ていて友達になった。お父さんの作品を見て、「まるで実家みたいだった。」「家にあったハンモックが消えたと思ったら、八十郎の家にあった。」と言っていた。きっと藤さんは八十郎に似ているのだろうなぁと勝手に想像。ちなみに娘さんは、自転車を手放しで乗るのがものすごく上手だった(笑)
それと私が帰る前、リリー・フランキーさんが豊島に来るらしいといううわさを聞いた。絵本作家になりたい八十郎はリリーさんとどんな話をしたんだろうかと思う。芸術祭は、まだあと2ヶ月余りあるので、八十郎がどんな人になっていくのか楽しみ。
第6回赤メガネの会
今回の課題図書は、ツルゲーネフ『はつ恋』。表紙が鳥でかわいい。
がしかし、内容は結構すごかった・・・。恋に落ちる16歳男子の主人公と、彼を弄ぶけど恋の相手にはしない21歳女子(貴族)のジナイーダ。恋は盲目って、まさにこんな感じ。ジナイーダの周りには他にも男の人がたくさんいて、みんな彼女に夢中なんだけど本命は別にいるという。ジナイーダが悪女な振る舞いをする理由を(かなり良心的に)考えてみたけど、結局最後までよく分からなかった。
主人公のように全身全霊をささげることが恋なら、私はまだ恋をしていない。ツルゲーネフ自身の恋も、こんな感じだったのだろうか。
今日の本たち。『台所帖』はきよみさんに貸してて今日返ってきた。『ブラバン』は自分とリンクしそうなので今日買ってみた。『空港にて』は前回の読書会の後買ってあと少し。初・村上龍で好感触!そして課題図書の『はつ恋』。
さて、3週間でまた頑張って読みます~。
2010/08/25
豊島①
クリスチャン・ボルタンスキー「心臓音のアーカイブ」
世界中の人の心臓音が聞ける小屋が豊島にある。心臓の鼓動はひとりひとり違うんだと初めて知った。力強く血液を押し出している心臓もあれば、時計の秒針のように控えめなリズムを刻んでいる心臓もあって、まるで指紋のよう。私の心臓は、お母さんのおなかの中で形作られた時から休まずに動き続けているのに、24年間その存在を意識することはあんまりなかったかもしれない。誰かの心臓音が鳴り響く小屋の中で、それとは別に、自分の胸の中で刻まれている鼓動を感じる。私は私でしかなく、確かに生きているんだなぁと思うと嬉しくなった。
キャメロン・ロビンス「潜在意識下の海の唄」
豊島の甲生の海岸にあるのは、パイプオルガンのようなこの作品。3本のパイプは海の中まで伸びていて、波の動きによって音が出る仕組みになっている。聞こえてくる和音は少し不気味で、でもそのリズムは不思議と心地よくしばらく聞いていたくなる。海にもし声があったら、人間に何を問いかけてくるだろう。1分が60秒で、1日が24時間で、7日が1週間というリズムで当たり前のように生きているけれど、波が刻むリズムや潮の周期のほうが、もしかしたら体内時計に合っているのかもしれない。
Art Setouchi 2010
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