国立新美術館で開催中の「セザンヌ―パリとプロヴァンス」展に行ってきました。オルセー美術館など世界8か国の美術館から、およそ90点のセザンヌ作品が大集結!100%全部セザンヌ、セザンヌ尽くしでとっても豪華な企画展でした。
セザンヌと言えば静物画。
フライヤーに載っているのは、セザンヌの代表作の一つ《りんごとオレンジ》。全てのバランスが完璧!ともいわれる作品ですが、よく見てみると中央左の平皿がりんごの山が崩れそうなほどかなり傾いてるんですよね。その手前のりんごも今にも落ちそうだし。この辺がセザンヌマジックなんでしょうね。セザンヌが生け花やったらものすごく上手なんじゃないかとも思いました。
作品の中に登場する絨毯やジャー、テーブルなどが展示されているので、絵と見比べるのが面白かったです。
りんごが腐るまで眺め続けたというセザンヌは、人物画を描くときもモデルの微小な動きも嫌ったそうで、妻オルタンスは「りんごのようにポーズをとる」ので高く評価していた、という逸話も紹介されていました。
今回の企画展では、セザンヌがパリとエクス=アン=プロヴァンスを行き来しながら一生をかけて自分のスタイルを研究し続けていたことも感じられます。様々な年代の作品が交互に出てくるので「これもセザンヌ?」という画風のものもあるし、りんごの絵にたどり着いた後も亡くなるまでセザンヌの絵は進化し続けているんです。「死ぬまで練習」と言ってもいいほどストイック、かっこいいです。
展示室の最後に飾られているのは、晩年のセザンヌの写真。白いひげにハットをかぶったセザンヌおじいさんが、外に椅子を持ち出そうとしているところを映した一枚です。おそらく、これから外で絵を描こうとしているんでしょう。風景画、人物画、静物画など全部見せたあとにこの写真を、という演出はとてもにくいです。
「セザンヌ―パリとプロヴァンス」は、六本木の国立新美術館で6/11(月)まで。