六本木の国立新美術館で開催中です。
『モダン・アート、アメリカン―珠玉のフィリップス・コレクション―』。
アメリカのワシントンDCにあるフィリップ・コレクションという美術館は、アメリカ近代美術の作品を多く所蔵しています。創設者のダンカン・フィリップスは、当時若手だった芸術家の作品を積極的に購入し、支援するということもしていました。
今回の企画展にはフィリップ・コレクションから、「アメリカ美術の芯の価値を知らしめたい」というフィリップス夫妻の情熱がつたわってくるような、エネルギッシュでみずみずしい色彩の絵画が多くやってきています。
フランスでがっつりモネの影響を受けてきたような印象派絵画もありますし、徐々に抽象絵画に向かって行ったり、象徴主義に向かって行ったり。アメリカ人アーティストならではの進化・発展の過程を垣間見られるのが、今回の企画展のすごく面白いところだと思います。
例えば、絵具を打ち付けるアクションペインティングで有名なポロックの作品があるんですが、いま日本に来ているのは、「自分のスタイル模索中」という感じの絵なんです。
その絵は油絵なのにクレヨンみたいな「ぼってり」とした質感で、カリスマっぽいイメージを持たれている彼も試行錯誤しながら作品作っていたんだなー、とかって思う。
今回展示されているのは、19世紀末~20世紀前半の作品。
その頃のアメリカって、ヨーロッパからたくさんの移民がやって来たあとで、高層ビルが建って、都市が目覚ましい発展を遂げる時期ですよね。ジャズの文化が盛り上がって、世の中が消費社会に移行した頃。エネルギッシュなアメリカのあの時代に一度タイムスリップ出来らいいのに!
時代背景としてはそんな感じで、私的には都市の摩天楼や工場、ラッシュアワーを描いた絵画が見ていてすごくワクワクしました。写真では表しきれない雰囲気、息遣い。都会にたたずむ人々の空虚感もまたこちらに迫ってくるものがあり、良かったです。
この絵を集めたダンカン・フィリップも、そんな時代の一部だったんだよなぁと思う。
『モダン・アート、アメリカン―珠玉のフィリップス・コレクション―』は
12月12日まで。