『アラブ・エクスプレス展』が開催されています。
普段あまり現代アートを見ない人でも、作品自体のメッセージ性が強くてわかりやすいのできっと楽しめます。
あなたは「アラブ」と聞いて何を思い浮かべますか?
砂漠? 戦争? 油田? 黒いベールに身を包んだ女性?
ドバイの建築? イスラム教の礼拝?
そもそも「アラブ圏」と言っても「アジア」と同じで、一括りにするには広すぎるし多種多様な地域だと思うんです。アラブ圏に属していてもアラビア語を話さない人もいるし、イスラム教以外の宗教を信仰している人もいる。国によって食べているものも習慣も文化も違う。だからこそ、アラブ世界の様々な表情を一つ一つ手に取っていくことはとても面白い!と思うのです。
私はアラブ世界に対して「怖い」とか「異様」とか「でも魅惑的」とか勝手な先入観を持っていて、それ故なかなか足を踏み入れる勇気が持てませんでしたが、去年モロッコとカタールを訪れたのをきっかけにすっかり魅了されました。
西欧やアジアにはない強い個性と、イスラム文化の奥深さ。好きです。
この企画展は、主にアラビア半島を中心としたアラブ諸国のアーティストの作品を展示しています。でも中にはアラブ国生まれだけど北米で活動しているというアーティストや、生まれは違うけどアラブ国在住というアーティストの作品もあるんです。
いろいろな視点から表現されていながらも、展覧会全体としては不思議と統一感があるのが面白い。その土地の文化はもちろん、アラブ圏で起きている紛争や、宗教的なジレンマ、急速に近代化していく中での社会の諸問題を鋭く突くような作品が多く、タブーにかなり踏み込んだようなものもあります。
もちろんキュレーションあっての企画展だとは思いますが、「アラブの春」が起こった後というタイミングも大きいのではないかと感じました。作品からはアーティストたちの「発信者」としての使命感が感じ取れるし、ジャーナリスティックな面を持つアートも多いです。
なかでも、原油を模した黒い水が噴き出ている”Black
Fountain”は衝撃的でした。
東京の夜景をバックにそうくるか!という驚き。
ぜひ会期中に訪れて、アラビアン・アートのパワーを感じてください。
ところで。
アブダビにルーブル美術館が建設中って知ってました?
私はパンフレットで初めて知りました。
どれだけお金があるんだ、UAE・・・!!アラビアン・モダンアートの「今」が垣間見られる『アラブ・エクスプレス展』は、
六本木ヒルズの森美術館で10月28日(日)まで。