Turkish Pottery, 2016

Turkish Pottery, 2016

2011/09/28

第23回赤メガネの会
















23回赤メガネの会が開催されました。課題図書は三島由紀夫『金閣寺』。
ずっと読みたいなと思っていた本です。
ストーリーはご存知だと思いますが、あらためて。
195072日、国宝・金閣寺が寺の青年僧の放火によって焼失するという衝撃的な事件がありました。その「なぜ?」が、三島由紀夫なりの解釈で書かれています。

メンバーの中で好き嫌いがはっきり分かれた本でした。
私はというと「かなり好き」。
どちらにしても、読み進めるにあたって、この本がほかの作品と大きく違っているのは「あらかじめ結末を知っている」という点。人一倍金閣寺に魅せられていた青年が、なぜ火をつけるに至ったのか。そこを目指して読んでいく。
エンディングはわかっているのに、まったく先が読めない展開で、金閣寺が燃え、最後の1文に裏切られ、読み終わった後も長い余韻を残す本です。
すごい。

この事件、主人公・溝口のコンプレックスが大きく影響しています。
彼は子供のころから「どもり」があって、人と話すことが極端に苦手でした。そのため、どんどん内向的な性格になり、彼だけの精神世界が出来上がっていくんです。

「私はそんな風に、いつも自分が人に与える印象の細目に亙って、
責任を持つことができないのである」

「どうして雪はどもらぬのか?遮るもののない空から、
流麗に落ちてくる雪を浴びていると、私の心の屈曲は忘れられ、
音楽を浴びているように、私の精神はすなおな律動を取り戻した」

このへんのフレーズがとても好き。
読み進めるうちに、不思議と放火犯である溝口の気持ちが理解できてくるんです。そうさせてしまう三島の文章はすごい。溝口の性格や思考には、三島由紀夫自身のコンプレックスが大きく反映されているのではとも言われています。人間、思うようには行かないものなんですね。

それから、雪の金閣寺を観に京都に行きたくなりました。
一生忘れないであろう1冊です
















そして、今回明子さんから現代美術家ボルタンスキーの本を借りる!!アート関係の本って買おうと思ってもかなり高くて・・・。ありがとうございますっ!
オースティンは次回の課題図書。私が読書会を始めるきっかけになったのが『ジェイン・オースティンの読書会』という映画でした。そんなわけで念願の『自負と偏見』。600ページくらいあるけど、頑張って読む。
写真は池田めぐみさんから貰いました。オーストラリアに行ってきたのだそう。(いいなー!!)エアーズロックの写真です。いつか絶対行く!という気持ちで、手帳に入れて持ち歩きます。