この会に参加しなければ、ずっと本を読む習慣がないままだったと思う。
なんで本を読むのか?という話になり、自分を守るためという人もいれば、ストレス発散という人、己の小ささを自覚するためという人もいて、私はというと、そうだな、自分を耕すためかもしれない。
記念すべき80回目の読書会。
課題図書はゲーテ『若きウェルテルの悩み』新潮文庫。
ウェルテル青年、思い悩んだが故の名言がいくつかあって覚え書き。
さてそこでだ、これを精神に適用してみたまえな。
心がせばめられて、印象にたいして敏感すぎて、
ある種の観念が腰を下ろしてもう動こうとせず、
自分というものを持てあましている人間の情熱が次第次第に大きくなっていって、
平静な分別を根こそぎにしてしまい、
破滅してしまうような人間を考えてみたまえ。
(pg79~80)
そうだ、ぼくは放浪者にすぎぬ。
この世の巡礼者だ。
しかし君たちもそれ以上のものなのだろうか。
(pg128)
半神なんぞといわれている人間が何だ。
力が一番必要とするときに、まさにその力の持ち合わせがないじゃないか。
それからまた、よろこびに小おどりし、あるいは悲しみに打ち沈んで、
そのどちらの場合にも、
豊かな無限者のうちにとけ入ろうとするまさにその瞬間に引き止められて、
鈍い冷たい意識に引き戻されるじゃないか。
(pg161)
絶望じゃありません。
頑張りとおしたぞという安心です、あなたの犠牲になるのだという確信です。
(pg183)
ゲーテ本人は自殺はしなかったものの、自分の恋愛を元に物語を書いたそう。
さてそこでだ。作者の思いは名作を産み落とすという形で報われたのかもしれない(Sam Smithしかり、Adeleしかり)。
でも!恋人のロッテことシャルロッテは(名前もそのままだし)、元彼が書いた自分との恋愛を200年以上にわたって読み継がれ、挙句の果てにお菓子メーカーの「お口の恋人」にまでなってしまっては、正直たまったものじゃないと思う。